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  • 2019.09.18

【ライヴレポ】シド、『SID TOUR 2019 -承認欲求-』スタート!マオ「“まだ人の心を動かせる歌が歌えるんだ”と思ったとき、俺の承認欲求が満たされました」

シドの全国ホールツアー『SID TOUR 2019 -承認欲求-』が、9月13日に千葉の松戸・森のホール21にて、ID-S限定公演からスタートした。

このツアーは最新アルバム『承認欲求』を携えて行なうもので、彼らがホールツアーを開催するのは『SID TOUR 2017「NOMAD」』以来、約2年ぶりとなる。その期待感からか、東京近郊の公演チケットは発売後すぐにソールドアウト。そのため、全国12ヶ所16公演を行なう本ツアーに加え、新たに追加公演として11月21日に東京国際フォーラムホールAにて『SID TOUR 2019 -承認欲求- FINAL』を開催することを発表したばかり。

ここでは、このツアーの幕開けとなった初日公演と同会場にて、14日に行われたツアー2日目のレポートをお届けする。

結成15周年のアニバーサリーイヤーを神奈川・横浜アリーナという大舞台できらびやかに締め括ったシド。だが、俺らはこんなもんじゃ終わらないし、だからこそまだまだ新たな可能性を追い求めていく。そんなバンドの野心と未来を見据えた覚悟を感じたライヴだった。

『SID TOUR 2019 -承認欲求-』、その2日目の公演を観た。そのステージ上で、シドは予想外のライヴを行なっていた。楽しいだけじゃない、暴れるだけじゃない、聴き入るだけでもない。観終わった後にこんなにも考えさせられるツアーは、おそらくシド史上初の試み。ファンならきっと、メンバーから「こんなシドのライヴ、アナタは“あり”ですか?」と承認を求められているような気分になるだろう。それほどまでに、シドに対して抱いていたこれまでのライヴ感をぶち壊す、とてつもなく挑戦的で衝撃に満ち溢れたライヴがそこでは展開されていたのだ。

まずツアーにおいて、もっとも特筆すべき点は演出、セットリストの選曲を含め、ライヴ全体が徹底してアルバム『承認欲求』の世界観、テーマを貫いたものになっているというところだ。観ている間は頭の中に何度も様々なクエスチョンマークが浮かび上がり、疑問を抱き、答えを探し求め、鑑賞し終わった後もその深い余韻に襲われる。このライヴをどう観たのか、さらにアルバム『承認欲求』を聴き返したとき、改めて今作をどう自分は捉えたのか。そこに、鑑賞したことでしか生まれ得ない“メッセージ”が介在していくというのが今回のツアーのあり方であり、彼らが新しく提示してきた“考えさせるライヴ”の最大の特徴のように思う。

そして、このようなライヴを表現するために、本ツアーはホールならではの見せ方として、紗幕や立体的なセットを使って冒頭、曲中、さらには次の曲へと転換する瞬間に至るまで、至るところに“文字”をメインにした映像を映し出すプロジェクションマッピングの演出がほどこされている。そのため、いつものように大歓声を受けながら、ゆうや(Dr)、明希(B)、Shinji(G)に続けて、マオ(Vo)が現れるという賑やかな登場シーンもなく、ライヴはオープニング映像からいきなりオーディエンスを『承認欲求』の世界へと淡々と引き込んでいく。そうして演奏が始まるやいなや、観客たちはステージにいるメンバーと次々と目に飛び込んでくる文字、そのふたつを同時進行で追いながらライヴを鑑賞していくことになるのだ。

マオは最初のMCで、その新しいアクトを目を凝らしてじっと見つめるファンに、「いつもとはひと味もふた味も違ったシド。最後までよろしくね」と笑顔で声をかけ、張り詰めた緊張感を解いていった。その後も、彼らは次々とアルバム収録曲をプレイしていき、最終的にはアンコールも含め、このライヴを通じてアルバム収録曲すべてを披露した。

『承認欲求』は、いろんな音を重ねるよりも、引き算でよりシンプルなサウンドへと向かうシドが浮き彫りになったアルバム。そのサウンド感を反映した「淡い足跡」では、淡々としたバンドアンサンブルに脈打つ3人の熟練した音のスケッチに、マオの心地良い歌声が重なり、17年目のシドだからこそできる奥行きのある伸びやかな音空間を描いてみせた。

それとは対照的だったのが、エモーショナルなバラード「涙雨」のアクトだ。地を揺らすようなリズムで、バンドサウンドがダイナミックな音像で解き放たれていく瞬間は迫力満点。その上で、マオがエモーショナルな歌で切々と観客の心を鷲掴みにしていくと、会場は息を飲むようにその展開に没頭していった。また、文字の演出が加わったことで、音源で聴くのとライヴでは楽曲の意味合い、印象が変わった曲もあった。例えば、不思議な旋律が印象的なバラード「手」などは、演奏前に観客に語りかけるような口調で綴られたメッセージを文字で見せることで、この楽曲の温かみがより際立ち、激し目のロックチューン「Trick」は、ゆうやがクラップを求め、その後マオが「カモーン」と叫ぶと歌詞の文字がステージ上で激しく飛び交い、それに合わせて客席にはどんどん拳が広がり、音源以上にスリリングな盛り上がりを作っていった。

さらに、CDでは打ち込みを使っていた「ポジティブの魔法」「デアイ=キセキ」もライヴでは生演奏にアレンジされていて、どちらの曲も、演奏が始まったとたんに場内にピースフルな空気が広がっていったのが印象的だった。また、これらのアルバム曲の中にフィーチャーしていく過去曲のチョイスも秀逸で、中でも「妄想日記」は、今回のアルバムの世界観に見事にハマっていて、曲の脅威が倍増して聴こえてきた。

こうして、ライヴはアルバムの世界観をとことん貫きながらも、もちろん「Dear Tokyo」をはじめとしたライヴ定番曲で盛り上げていくパートもちゃんとある。そこでは、観客たちはいつものようにコール&レスポンスやシンガロングを繰り広げ、ボルテージを上げながら一丸となってスパークしていく。

また、シドならではの気取らないメンバートークも健在だ。この日は、特にShinjiが絶好調で「承認欲求は僕にもあります」と言って、それなのに自分のスマホやiPadは顔をかざしても自分だと承認してくれず開かないことがよくあるのだと伝えると、横からマオが即座に「Shinji、それ承認じゃなくて“認証”だから。顔認証!」と突っ込む。Shinjiはそれに「でも、業界人は(言葉を)逆に言ったりするでしょ?」と奇跡の切り返しをして、会場を大いに笑わせていた。

その後、アンコールの最後まで新しいシドで観客を魅了していった。マオは「最高に気持ちいいライヴをありがとう」と集まってくれたファンに感謝の気持ちを伝えた後、「「涙雨」を歌っている最中、俺は歌の世界に入っているんだけど、今日は歌い終わった後、すすり泣く声が聴こえてきて。“俺はまだ人の心を動かせる歌が歌えるんだ”“まだやれるんだ”と思ったとき、俺の承認欲求が満たされました」と心の内を打ち明けた。ファンだからこそ理解できるその想いの深さに、そっと涙を流す観客たち。だが、その涙をさえぎるように「でも、まだまだ俺は満足していません。ボーカリストとして、シドとしてもっと上を目指すので、よかったらこれからもついて来てきてください」と力強い言葉を残して、この日のステージを終えた。

結成16年を迎え、『承認欲求』というアルバムと本ツアーで新たなスタートをきったシド。この後行なう全国ツアーで、ぜひともこの新しいシドのライヴを体感して欲しい。ツアーをどう判断するのか、さらにアルバムが問いかける本質とは一体なんなのか。ライヴを観覧した後、その答えを考え、11月21日のツアーファイナルとなる追加公演で、その答え合わせをしてみてほしい。

写真/今元秀明 文/東條祥惠


【ツアー情報】
『SID TOUR 2019 -承認欲求-』 
2019年9月23日(月・祝)群馬・ベイシア文化ホール(群馬県民会館) 
2019年9月25日(水)神奈川・カルッツかわさき 
2019年10月5日(土)宮城・東京エレクトロンホール宮城 
2019年10月12日(土)埼玉・大宮ソニックシティ 
2019年10月14日(月・祝)岡山市民会館 
2019年10月19日(土)大阪国際会議場メインホール
2019年10月20日(日)大阪国際会議場メインホール 
2019年10月22日(火・休)福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール 
2019年11月2日(土)愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール 
2019年11月3日(日・祝)愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール 
2019年11月5日(火)東京・中野サンプラザホール 
2019年11月6日(水)東京・中野サンプラザホール 
2019年11月9日(土)新潟テルサ 
2019年11月13日(水)北海道・カナモトホール(札幌市民ホール) 

『SID TOUR 2019 -承認欲求- FINAL』

2019年11月21日(木)東京国際フォーラム ホールA

オフィシャルサイト:http://sid-web.info/


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