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  • 2019.08.03

【ライヴレポ】マオ from SID、“男性Vocalist Cover”公演で小田和正や福山雅治らの名曲を披露!「違う風に歌っちゃうこともあるけど、俺の感情だと思ってもらえれば」

歌い手が自らの“声”と“表現”だけに注力したとき、果たして何が生まれるのか?その答えをまるで教えてもらえたようなステージだった。マオfrom SIDが全5都市12公演を回った2年ぶりの『Acoustic Tour 2019 「箸休めNight」』。“女性Vocalist Cover”と銘打って2週間前に行われた初日公演に対し、“男性Vocalist Cover”の名のもと7月30日に東京・マイナビBLITZ AKASAKAで開催されたツアーファイナルは、数多の名曲ラブソングを軸に彼の歌声のみならずパーソナリティの魅力が存分に滲み出たものに。初日以降の5会場と同じく、2部構成で実施されたこの日の公演のうち、1部での模様をMCも含めてお届けしよう。

バイオリンにアコースティックギター、そして鍵盤と完全アコースティック編成のメンバーがポジションについたのに続き、笑顔のマオが右手を上げながら入場すると、着席スタイルの客席からは一斉に拍手が。しかし歓声は起こらないあたりが、まさしく“箸休め”らしい穏やかさで、特徴的なギターフレーズで始まる藤井フミヤの「TRUE LOVE」からライヴは幕を開けた。低音を利かせて一音一音を丁寧に歌い上げるマオの声に、バンドとは違うスピードで熱が滲んでいくのが実に味わい深く、また福山雅治の「Squall」へと曲が移ると、今度はファルセットも交えた繊細な声の響きで、鼓膜の奥まで満たしてくれる。

「ファイナル早かったね。夏をギュッとしたようなツアーでした」と短い期間で回ったツアーを和やかに振り返り、「この調子でぐでーっと。ぐでたまのように観ていただけたら」と、TBSでアニメオンエア中のキャラの名を同局のお膝元で出すあたりもさすが。さらに「最後までしっかり俺が癒していくので、癒されて帰ってください!」と宣言してからは、バラードを中心としたJ-POPの名ラブソング披露と気の置けないトークが交互に繰り広げられていく。

「癒していく」というワードを裏付けるように、音数の少なさを活かした柔らかく、包み込むようなアレンジに乗せて、前半戦は歌声の起伏も控えめ。おかげで久保田利伸の「Missing」など、エモーショナルな歌唱が印象的なナンバーからも全く違う顔を引き出すのが新鮮だ。その分、観る側の感覚も研ぎ澄まされ、「もっと深くて甘いところへ行こうね」と誘われた「ワインレッドの心」(安全地帯)では、楽曲の緊張感を見事に再現するピアノ&バイオリンの音色と共に、わずかな手ぶりひとつからも狂おしい恋情が伝わって、視線も心もグッと惹き込まれてしまう。その一方で「Missing」の歌詞に登場する「Baby」から、「ベイベーって俺の歌詞にあんまり出てこないよね。唯一出てくるのが「吉開(学17歳(無職))」って凄くない?」と笑わせたり、「飴、舐めていい?」とマイクを通して飴をかみ砕く音までリアルに聞かせたりと、ユルすぎるMCは全く規格外。後半には「衣装のコンセプトは部屋着。みんなが俺ん家に遊びに来た感じだから」という発言もあったが、それもあながち本気かもしれない。

「次の曲は情景が浮かびやすい曲。こういう曲に僕も影響されてきたんだなと思います」と贈られたのが、シャ乱Qの「シングルベッド」だ。曲のストーリー展開に合わせて朗々と、力強く熱を帯びるボーカルは実にドラマティックで、マイクを口元から離しながら声の震えを響かせる業も見事!「かわいがってくれたつんく♂さんへの想いを込めて、しっかりと歌わせてもらっています」という台詞も納得で、そんなところからも彼の誠実な人柄が窺える。

そうして自身が愛する男性ボーカル曲を“マオ流”で消化するのと同時に、今回のツアーでもうひとつの大きな柱となっていたのが、「初めて僕が作詞・作曲した曲」という「最後の恋」の披露である。深い愛を歌ったメロディックなナンバーは、耳に残るサビのパンチ力も抜群で、作詞者のみならず作曲者としての才能を証明するに十分。「何をしたらファンのみんながワクワクドキドキしてくれるんだろう?と思って作曲を始めてみました」と初作曲の動機も語られたが、そこに続いた言葉は誰もが心励まされるメッセージだった。

「作曲してみてひとつだけわかったのは、何かを始めるのに遅いってことは絶対にないんだなってこと。やりたいと思ったときにやっておかないと、それこそ手遅れになる。何でもしたいようにしている幸せな環境で僕はやらせてもらっていて、でも、新しいことを始めるときにその道しるべを照らしてくれたのは、いつもファンのみんなだった。これからも照らしてね」

そう伝えてオリジナル曲の「サヨナララスト」が始まると、クラップを自然発生させる客席に向かってマオ自身も大きく手を振り、歌い終えてからは「流れ星のように!」と再度オーディエンスに手を振らせて「綺麗!いいじゃん!」と破顔。「こんな盛り上がる曲もあるんです」と胸を張るが、続く「ラブ・ストーリーは突然に」(小田和正)では原曲とは全く違う声質&アプローチで昏い執着心を浮かび上がらせて、曲の知られざる本質を教えてくれる。かと思いきや「甘いラブソングの中では、トップに入るくらい大好きな曲」と前置いた尾崎豊の「OH MY LITTLE GIRL」に、持ち前の声の甘さと溢れ出る愛しさをたっぷりと注入。エモーショナルな表現で聴く者の胸を震わせ、「この曲は歌うとき、かなり熱量使います。歌詞の世界にどんどん入って行っちゃって、ちょっと違う風に歌っちゃうこともあるけど、それも俺の感情だと思ってもらえれば」と申し開くのも愛しい。

「この距離でひとりひとりを見ながら、喋ったり歌ったりできたのが幸せでした。ひとりひとりに届くように、今までで一番を目指してしっかり想いを込めて歌うので、受け止めて帰ってください」

真摯な言葉に続いたラストソングは、1stシングル曲でもある「月」。回るミラーボールの下、ピュアな想いを綴ったラブバラードはシンプルな分、聴く者の心を真っ直ぐに貫き、<平凡だけど 優しい日々を ずっと 約束するから>という朗々たるアカペラが、彼のファンへの誓いのようにも聴こえてくる。事実、最後はオーディエンスを抱きしめるように両腕を広げてみせたマオ。「いつも目を瞑って歌っていて、今日は真ん丸なんだけどボヤッと雲がかかっているのが、だんだんと晴れてバチッと輝く月が見えました」と晴れやかに話し、今日はじめての「マオ!」コールを浴びると、「外暑いから気をつけて帰ってね。俺の大事なお前たち、倒れるんじゃねーぞ!」と殺し文句を発して「愛しているよ」とトドメを刺した。

また、その後の2部では、東京・日本橋三井ホールにてクリスマスライヴを開催することも発表。12月11日には毎年恒例の『箸休めNight』を、翌12日にはバンド編成によるプレミアムライヴを行うという。バンドとソロ活動を両輪に、アーティストとしての深度を高めるマオの今後に期待は深まる。

写真/今元秀明 文/清水素子



<セットリスト>
1.TRUE LOVE
2.Squall
3.Missing
4.ワインレッドの心
5.自転車泥棒
6.シングルベッド
7.最後の恋
8.サヨナララスト
9.ラブ・ストーリーは突然に
10.OH MY LITTLE GIRL
11.月


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