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  • 2018.07.14

【ライヴレポ】シド、“昭和歌謡曲限定LIVE”東京公演で初期からずっとやり続けている大好きな曲「私は雨」や井上陽水のカバーなど全19曲披露!

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シドの結成15周年を祝う全国ライヴハウスツアー『SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018』。公演ごとにテーマを設けたツアーは大盛況で、6月27日と28日には東京・豊洲PITにて追加公演が行なわれた。ここでは、6月27日の“昭和歌謡曲限定LIVE”の模様をお伝えする。

この日の軸となったのは、1stアルバム『憐哀-レンアイ-』をはじめ、インディーズ時代の昭和歌謡曲的なナンバー。1曲目は、愁い色をたたえたShinjiのアルペジオが導く「紫陽花」だ。叙情的な旋律と骨太いバンドサウンドが心地良く絡み、ファルセットを交えたマオの歌声にフロアは聴き入って、いつもの歓声に沸くライヴとはだいぶ異なる様相だ。

マオがタイトルコールした「土曜日の女」はムード歌謡の趣で、「紫陽花」の未練を引きずる男性から一転、描かれるのは都合のいい女の嘆き。歌詞はもちろん、歌声、演奏でも繊細にそれぞれの“哀愁”を表現できてしまうロックバンドは、シドのほかにいない。

「“昭和歌謡曲限定LIVE”に、ようこそいらっしゃいました。シドは、初期の頃昭和歌謡の匂いのする曲をたくさん産んできました。今日は、改めてみなさんに届けたいと思います」

大人モードなマオの丁寧な挨拶から、「林檎飴」へ。80年代感漂うアップテンポにオーディエンスが少し控えめに揺れ始める中、マオがステージ下手に動いたり、明希はターンしたり。

マオが「盛り上がっていけるかい!?」と呼びかけた「お別れの唄」では、イントロのサンバ的なドラムフレーズ、中盤の見せ場とゆうやが華やかに牽引。Shinjiがアコースティックギターで奏でるスパニッシュなギターソロも、鮮やか。ファンキーな色をたたえた「バーチャル晩餐会」では、軽やかに聴かせながらもテクニカルな歌と演奏にすっかり魅せられてしまう。

「今日は無駄に大人っぽく振る舞っておりますが、普段は聴こえない自分の心臓の音が聴こえています(笑)。ところで、今日は“昭和歌謡曲限定LIVE”なわけだけど、平成生まれの人いる?」

明希がフロアに向かって問いかけると、真っ先に「はい!」と手を上げたのはマオ。「ぎり、平成かな」とすまし顔で言うマオに、「めっちゃ年下じゃん!っていうか、ずっとタメ口だったよね!?(笑)」と明希が切り返せば、オーディエンスも大笑い。

“昭和の男代表”と明希に振られたShinjiが、「昭和はちょっとだけなんですけどね、シャンプーはティモテ(昭和に大流行した)です」と言うと、すかさず「それ昭和だよ!」とツッコむマオ。そのまま♪ティモテ~ティモテ~とCMソングを歌い出す4人、こんなときも息ピッタリ。

ゆうやは、フロアに向けて突如自分が朝何を食べてきたかの3択クイズを出題。炒飯でもオムライスでもなく、納豆ご飯をしっかり食べてきた彼もまた、間違いなく昭和の男だ。

「今日のMC、みんな変だよね(笑)。ちなみに、“暴れ曲限定LIVE”のときには家を出てからライヴが終わるまでずっとキレていて、メンバーとも目を合わせずにいて不良を貫いていたんだけど、嫌われたらいやだなと思ってライヴ後に「ごめんね、今日」ってメンバーに言ったら、「なんとなくわかっていたよ」って言ってくれて。15年やっていると言葉にしなくても理解してくれているんだなと思って、嬉かったです」

そんなマオの言葉からは、4人の決して揺るがない信頼と絆を感じ取ることができた。歌詞もサウンドもまるで往年のフォークソングのような「小さな幸せ」。マオが「初期からずっとやり続けている大好きな曲です」と前置きした「私は雨」。Shinjiの爪弾くアコースティックギターの音色にマオの歌力が映えた「青」。シドの昭和歌謡、その深みにどんどんハマっていく。

「昭和歌謡っていっても盛り上がる曲もあるからさ。いけるか!?」というマオの言葉をきっかけに、クラップが巻き起こったのは「循環」。歌詞に合わせてくるくると回るオーディエンスを見て笑顔のマオとゆうや。向き合って楽しそうに演奏するShinjiと明希。Shinjiと隣り合ったり、明希の肩に手を回したりしながら歌うマオ。オーディエンスのコールが大きく響いた「妄想日記」、たたみかけた「妄想日記2」、マオが幾度となく咆えた「隣人」と、その勢いは止まらない。本編ラストの「赤紙シャッフォー」ではオーディエンスが全力コール&拳を思いきり振り上げて、結局とんでもない熱量が生まれた。

アンコールでは、かけ出しの頃に登場SEとして使っていたという井上陽水の「傘がない」を、想いを込めてカバー。「最初の頃、お客さんが全然いなくて辛かったけど、シドの音楽は絶対たくさんの人に刺さるっていう確信があった。15年経った今、こうしてライヴをやればたくさんの人が来てくれることに感謝しなきゃって、改めて思いました」としみじみ言ったマオ。自分たちを信じ曲げないことと、感謝を忘れないこと。そのふたつを持ち続けるバンドは、いつまで経っても輝きを失わない。

マオのイヤモニだろうか、不調になるとShinji、明希、ゆうやがセッションを始め、戻ってきたマオが突然のラッパーモードで乱入するという遊び心も発揮しつつ、「アリバイ」では懸命に手を振るオーディエンスにマオが全力で投げキッス。マイクを向けられたオーディエンスも、大合唱で応える。

「いつもより暗い曲が多かったけど、好評だったらまたやりたいと思っているから、楽しかった人は手紙ください」

そうお願いして最後の曲へ……というところで、フロアから残念な声が上がると、「俺も終わりたくないけど、昭和の曲がもうないんだよね」と申し訳なさそうなマオ。しかし、「じゃあ、歌詞に昭和が入っている曲選びます」と閃いて、急遽ステージ上で相談する4人。選ばれたのは、“赤外線”というワードが歌詞に含まれた「夏恋」だ。4人の粋な計らいにオーディエンスは歓喜、コール&レスポンスでよりいっそう一体感が高まることとなった。

そして、最後の最後に届けてくれたのは無比の世界観に彩られた「空の便箋、空への手紙」。シドの哀愁にどっぷりつかりすぎて、この余韻はしばらく薄れそうにない。

写真/今元秀明 文/杉江優花



<セットリスト>
1.紫陽花
2.土曜日の女
3.林檎飴
4.お別れの唄
5.バーチャル晩餐会
6.小さな幸せ
7.私は雨
8.青
9.循環
10.妄想日記
11.妄想日記2
12.隣人
13.赤紙シャッフォー
-アンコール-
EN1.傘がない
EN2.恋におちて
EN3.罠
EN4.アリバイ
EN5.夏恋
EN6.空の便箋、空への手紙


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