12月23日公開の映画『勝手にふるえてろ』で、主人公・ヨシカが10年間に渡って脳内片想いをしている「イチ」を演じる北村匠海(DISH//)。『君の膵臓をたべたい』『恋と嘘』といった王道的な青春映画から一転、現実とヨシカの妄想が交錯する暴走ラブコメディにおいて、人気者に見えて闇を抱える「イチ」を演じるのは生々しくもあり、やりがいを感じたのだとか。3度目の共演となる松岡茉優のことや、同じくDISH//として活動し同作にも出演している小林龍二の役者としての印象も語ってくれた。
文/杉江優花
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「イチ」の抱く感情に共感!「人それぞれ、自分にしかわからない気持ちがある」
―― 主人公・ヨシカの妄想と現実が交錯する暴走ラブコメディ映画『勝手にふるえてろ』では、『君の膵臓をたべたい』『恋と嘘』といった王道的な青春映画で演じた青年像とはガラっと違った、一見みんなからの人気者に見えて闇を抱える「イチ」を、すごくリアルに演じられているなと。
北村 綿矢りささんの原作からすると「イチ」のイメージは僕ではないような気もするんですけど、僕の中にある暗さのようなものを感じ取った上で「北村匠海で」と大九明子監督に言っていただいたからには、そういう部分を活かして「イチ」を演じたほうがいいんだろうなと思いました。ヨシカの妄想世界が散りばめられていてファンタジックな作風ではあるんですけど、演じていてもリアルだったし、完成した作品を観てみても意外としっかり現実味もあるなと僕自身思います。人間誰しも、例えばご飯を食べている今のこの時間が早く終わらないかなとか、早く家に帰りたいなとか、小さなことでも自分のことだけを考えてしまったり、負の感情を持ってしまうことがあるじゃないですか。「イチ」はそういう感情を常に抱えながら生きてきた人間だと思うし、共感できるところがあったんですよね。ヨシカが計画した居酒屋での同窓会で、友だちなのか知り合いなのか、「イチ」にとってはその境界線すらわからないような相手にくだらないことで絡まれて、「いや、わかったから」って言いながら「まじでウゼェな」っていう感情をむき出しにするシーンにしても、自然と嫌なヤツでいられたかなと思います。
―― そう、あくまで自然なんですよね。だから、気付かない人は気付かないっていう。
北村 人によってものの見方、見え方って違うし、ヨシカにとっては「イチ」は王子様だったんだろうし。人それぞれ、自分にしかわからない気持ちっていうのはあると思うんですよ。
――ということを物語る「イチ」の言葉に、ハっとさせられたりとか。
北村 ヨシカから見れば「イチ」はみんなからの人気者、でも「イチ」からすれば不本意ないじりはイジメ。そういう感情の差もリアルだなと思って演じていたし……良かれと思って言ったりやったりすることも、時と場合によっては相手が嫌がることでもあるっていう。妄想的でファンタジックな中でも、案外普通の人間を大切に描いているなということも、「イチ」を演じてみて感じたことです。
DISH//メンバーとの共演は新鮮!俳優としての小林龍二はどんな役者?
――脳内片想いをして妄想に突き進むヨシカに共感する女の子もいる一方で、そういう「イチ」に気持ちが重なる人も案外多いのではないかなと思いつつ……希望を感じさせる朝日が昇ってくるときにヨシカに向かって放つ「イチ」の言葉は残酷だし、歪な関係であることを思い知らされたりもします。
北村 築き上げられていくものと、崩壊するものと、徐々に積み上げていって最後に花咲くというのが一般的な物語の流れなんでしょうけど、積み上げては崩して、積み上げては崩して、そうやっていく中での気持ちの落差が、象徴的に描かれていたりもする。ちなみに、あの朝日の場面は25、6時間待って迎えたんですよ。タワーマンションでのシーンを全部1日で撮って、10分くらいの間に一発本番で臨みました。寝ずに迎えた朝なのでちょっと顔がむくんでいたりして、それもリアルだったんじゃないかなと。そして、僕が中1の頃から『鈴木先生』(テレビ東京系)はじめ学園モノで3回共演している松岡茉優ちゃんは、昔からお姉ちゃん的な存在として慕ってきた人。初めて1対1で芝居をするのは新鮮だったし、楽しくもありました。
――それから、今回はDISH//のメンバーである小林龍二さんとも、歪な関係性の同級生として共演されているわけですが、役者として何か感じたことはありますか?
北村 普段はDISH//のメンバーとして一緒にいるわけですけど、映画撮影の現場での龍二を見て、感覚で芝居をする人なんだなって思って。それもやっぱり、すごく新鮮でした。あと、以前『JR SKISKI』のCMで共演して以来仲良しの増田朋弥くんにしても、やはり、良い意味でおもしろい芝居をするなと思いました。ただ、「イチ」としてはあまりほかの人たちに興味を示さないようはしていましたね、気持ち的に。
―― 「イチ」という人がそうであるように。
北村 はい、自分の気持ちの中でもそうやって役を作っていくタイプなので。
――闇を抱える「イチ」を演じたことで、役者・北村匠海としての表現の幅がより広がったのではないでしょうか。
北村 だといいなと思います。「イチ」を演じるのがすごく楽しくもあり、またひとつ役者として大きなやりがいを感じられるものでもありました。『君の膵臓をたべたい』『恋と嘘』、そして『勝手にふるえてろ』と、19歳から20歳にかけての1年間で、とても大きな3本に出会えました。『勝手にふるえてろ』の不思議な世界観やほかにない色味は、僕もいち観客として大好き。そういう作品に出演できたという嬉しさがすごくあるし、今作で得たものを、この先の役者人生に活かしていきたいと思います。
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