• ミュージック
  • 佐久間正英、日本音楽シーンに遺した偉大な足跡 その人物像と軌跡を検証
CONTENTS
Home
  • ニュース
  • 2014.03.04

佐久間正英、日本音楽シーンに遺した偉大な足跡 その人物像と軌跡を検証

BOØWY、GLAY、JUDY AND MARY、THE BLUE HEARTSなど数多くのアーティストをプロデュースし、数多くのミリオンヒットを世に送り出した音楽プロデューサー佐久間正英。今年1月、惜しまれつつ他界した佐久間の遺産は、確実に今のアーティストたちに受け継がれている。そんな佐久間氏の人物像にスポットを当てるとともに、成し遂げた偉業、最後に残した音楽について、検証していきたい。

■佐久間正英とはどんな人だったのか?

昨年、自らスキルス胃がんであることを公表し、1月15日に永眠した音楽プロデューサー佐久間正英。このニュースは音楽シーンに衝撃を与え、坂本龍一や松岡充(SOPHIA)、葉加瀬太郎、浅倉大介など実に幅広いジャンルのアーティストがTwitterなどで追悼コメントを発表した。多くのアーティストが信頼を寄せた佐久間正英とは、いったいどういうプロデューサーだったのか。

佐久間正英は、70年代中盤にプログレッシブロックバンドの四人囃子で活動、70年代末〜80年代初頭はテクノポップバンドのプラスチックスで、世界デビューするなど活躍した。以降、音楽プロデューサーとして活動する一方で、NiNa、The d.e.pなどのバンドを結成し、音楽シーンを賑わせた。ライヴサポートミュージシャンとしても経験豊富で、1999年に幕張で行われたGLAYの20万人ライヴにもキーボーディストとして参加した。

プラスチックスのメンバーだった中西敏夫は、「まーちゃんと過ごした時代は、異常に濃い奇跡のような時間だった」と、共に過ごした時代を振り返る。また、ドラマーで佐久間の遺作「Last Days」のレコーディングに参加した屋敷豪太は「人間的にも音楽的にも包容力があり、知恵と才能を兼ね揃えた人。日本の音楽シーンを盛り上げることに、本当の意味で命を捧げた人だ」と、佐久間を讃える。

■ロックシーンにおける佐久間正英の偉業

またプロデューサーとしては、バンドの生の音にこだわりそのバンドの魅力を引き出す手腕に長けていた。「佐久間さんの包みこむようなアドバイスが本当にメンバー一同うれしかった」と大槻ケンヂ。「1音1音を大切にしてくれる素晴らしい耳を持ち、自由かつ柔軟なお人柄で、作業がとにかく楽しかった」と岸田繁(くるり)は語り、「“良い音”とは何かを教えてもらえた」と佐藤征史(くるり)はコメントしている。

多くのアーティストが「天才だった」と評す。ギターだけでなく、ベースやキーボードなどすべての楽器を完璧に弾きこなし、レコーディングはとにかくスピーディー。スタジオミュージシャン5人でも、佐久間ひとりにはかなわないと話すアーティストもいる。音への意識が高く『Journeyman』や『TopDog』といった楽器ブランドを立ち上げバンドに機材提供を行ったほか、ケーブル1本にまでこだわり、レコーディング技術の向上に一役買った。「佐久間式ピッキング法」と呼ばれるギター奏法を編み出したことでも知られる。この奏法は逆アングル・ピッキングフォームが特徴的で、通常のピッキングよりも弦にハード・ヒッティング出来て、さらにスラップよりも強い音が出る。すかんちのメンバーとして佐久間式を伝授されたギタリストのROLLYは、「現在も佐久間式ピッキングを続け、後輩のギタリストにも広めようと活動しております」と話す。佐久間が日本のロックシーンに与えた影響は大きく、そのDNAは確実に受け継がれている。

■佐久間正英が最期に残した音楽

佐久間に対する音楽的な再評価の動きが高まっていると共に、関連作が続々リリースされる。4月2日には、佐久間が自らの名義でリリースした3枚のアルバム『REPLAY〜再生』、『in a garden〜創造の庭で』、『SANE DREAM〜正気の夢』が、リマスタリングされ高音質SHM-CD仕様で復刻され、オリジナルファーストソロアルバム『LISA』もリリース。5日には、BOØWY、THE BLUE HEARTS、JUDY AND MARY、GLAYなど、佐久間がプロデュースしたロックバンドの楽曲が収録されたコンピ盤『SAKUMA DROPS』がリリースされる。

このアルバムは、佐久間の最後のレコーディング曲となった「Last Days」が収録されたことでも話題。同曲でボーカルを務める元JUDY AND MARYのTAKUYAは、「最後にソファーに倒れたまま、何度もサムズアップで頂いたプロデューサーOKを、僕は生涯大事に、この先も佐久間さんにOKをもらえるような演奏と音楽をがんばります!」とレコーディングを振り返り、コメントを寄せた。また、佐久間の親戚にあたりピアノで参加した生田絵梨花(乃木坂46)は、「こんな素敵な機会をもらえたことに感謝しています。最後の作品で、自分も一緒に音を吹き込むことができて、本当に光栄です」と、“ファミリー共演”を喜ぶと共に感謝の気持ちをコメント。佐久間の息子である佐久間音哉は、「佐久間正英が、自身の最後の日々についての思いを描いたこの曲のレコーディングに参加できたことは、今後の僕にとってとても大切なものになることだろう」と偲んだ。

同曲について、ビクターの担当ディレクターは「生まれた曲が、心から喜んでいるのがわかります」と語る。晩年の佐久間は、デヴィッド・ボウイの最新アルバム『The Next Day』を好んで聴き、原点回帰したようなものを作りたいと考えていたそうだ。実際「Last Days」からは、ロックの歴史を感じさせる深淵な音の世界が広がる。そして音楽という楽しい時間が終わってしまうことへの寂しさと共に、やり切ったような清々しささえ感じる。音哉氏は「彼はその日マスタリングが終わったばかりのこの曲を聴き自らオッケーを出し、その夜、永眠した」と振り返った。

最後のレコーディング曲「Last Days」には、佐久間正英の最期の命の輝きが、まぶしいばかりに満ち溢れている。

文/榑林史章

関連リンク

特設サイト
RECOMMEND
CONTENTS

あなたへオススメの記事

注目記事

アクセスランキング

AdSense