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  • 2014.07.16

【インタビュー】石神秀幸 ラーメンは進化を楽しむ食べ物!? ラーメン王がナビする王道と邪道の楽しみ方とは

“神の舌を持つ男”こと、ラーメン評論家・石神秀幸が最新刊『ラーメン最強うんちく』を上梓した。通常のラーメンガイド本とは異なる、文字を中心とした本書。小学生時代に自身の優れた味覚に開眼し、以来数十年にわたる歳月のなかでその才能を研鑽し続けた彼の“最強うんちく”を詰め込んだ一冊に仕上がっている。ラーメンへの情熱、トレンドの変遷、次なるフロンティア、来し方と行く末……。最も信頼できる“ラーメンの案内人”に、その想いを聞いてみた。

文/菊地貴広(しろくま事務所)

ポテンシャルは日本食No.1!ラーメンが日本を救う!?

——石神さんのこれまでのラーメンに関するうんちくが詰まった本書。それだけに想いが込められていると感じました。

石神 僕は常にラーメンの地位向上を願っています。今、海外でのラーメン人気は本当にすごくて、このあいだロンドンに行ったときもラーメン屋に何十人と並んでいる。ニューヨークは既にラーメン激戦区ですし、アジアではもう10年もそれが続いています。一方で、肝心の日本ではあまりに過小評価されていると思います。

——過小評価とは?

石神 音楽を例に出すと、クラシックは高尚なもので、ロックは一段低いものという意識がどこかにある。しかし、ロックを好きな人の方が圧倒的に多いわけです。ラーメンもそれと同じで、あまりに身近すぎて軽視されている部分がある。パスタなら一皿1000円以上でも簡単に出すけれど、ラーメンだとそうはいかないですよね。でも、実際は比較にならないくらいラーメンの方が手間がかかっているわけです。

——「ラーメンが日本を救う」とまで書かれていますが。

石神 少し大げさでした(笑)。ただ、観光資源には十分になりうるものだとは思います。日本に来る目的がラーメンという観光客も増えているし、僕もラーメン屋の養成塾をやっているけれど、生徒の半分は外国人ですからね。カナダ人の生徒が昨年バンクーバーでオープンして、早くも2号店を出したそうです。

——また本書は、情報量がものすごいです。ある取材では、「努力や我慢、勤勉といったことが苦手」と語っていましたが……。

石神 僕にとって、これは全く努力ではないんです。中学生のときから食べ歩きをしているので、努力と感じたことはない。取材をしてどんどん深めていくことは趣味の延長で、それがたまたま仕事になっている感じでしょうか。

スパイス系に期待!今後のラーメン動向

——「今のブームは、やっぱり鶏白湯(とりぱいたん)ですか。

石神 ここ数年ずっとそう。特にこの2年くらいは、新しい店ができると鶏白湯ばかりという状況です。言ってみれば豚骨スープが鶏ガラになったもので、それでいて獣臭さはない。海外でもウケがよく、あれだけ動物をしっかりと煮詰めて乳化させた、まろやかでクリーミーなスープはすごくリッチに感じるんですよね。その先駆けで海外でも成功しているのが『まる玉』(*1)です。ただ、今をピークに落ち着いてくるだろうとは思っていますね。

——そして、次にくるのが“スパイス系”だと。

石神 「これがこないとイカンだろう」という希望も込めてなのですが、まだ研究の余地が残されているのがスパイスなんです。ラーメンの進化として、まずタレ、次に豚骨や魚介などのダシ、この10年くらいは油が研究されてきた。そして、残されたフロンティアがスパイスだと。日本ではあまり使われないけれど、世界には尋常じゃない種類のスパイスがあるわけです。その組み合わせで味は無限に広がっていく。スパイスを研究する店が現れないとマズいし、最近はちらほら見かるようになりましたね。特に高円寺の『しんやらー麺』(*2)のカレーラーメンには注目。クミンやカルダモンを軸にするといわゆるカレーっぽくなるけど、クローブを軸にしていて、一般のカレーのイメージとは大きく異なります。

——今は、食べログやSNSで1億総評論家時代。石神さんのいちばんの商売敵は、食べログなんてことも?

石神 実際食べログは便利だし、鋭い評価も多い。それで僕のような人間が淘汰されるなら、それはそれで時代の流れかなと思いますね。でも僕はもう、ただ美味しい店を紹介するというスタンスではいないです。今はラーメンのレベルが底上げされて、どこで食べても美味しいし、昔なら感動するような店でも当たり前になってきている。そうなると、“美味しい+α”を探すのが僕の仕事です。何か新しいことをやろうとしている店、独自色を出している店、あるいは誰も知らない個人経営の店、そういう店を探し出すことに基準を置くようになりましたね。例えば、『天下一品』(*3)や『一風堂』(*4)なども本当にレベルが高い。一風堂なんかを食べてまずいという人はあまりいないでしょう。だけど、そういう店を僕が紹介しても仕方がないわけですから。

——では、石神さんを追っていれば、常に新しいラーメンに出会えると。

石神 例えば、西荻窪に『パパパパパイン』(*5)というパイナップルラーメンの店があります。これを邪道だと言う人がいるけれど、僕はそうは思わない。新しい味というものは誰かが挑戦しなければ生まれてこない。それを否定するのはラーメンの進化を、職人の努力を否定することになります。もちろん美味しいことは大前提ですが。分かりやすい進化、分かりづらい進化、両方きちんと拾い上げていくことが僕の役目です。

——では、本書を読む人に何かメッセージを!

石神 ラーメンは、まだ100年程度の歴史しかない現在進行形の食べ物。ひとつの文化が形成され、進化していく過程を楽しめるというのはとても素敵な体験です。ぜひこの本を読んで、ラーメンを食べ歩いてください!

 

*1『まる玉
東京、神奈川、埼玉、およびシンガポール、マレーシア、インドネシア、カナダに店舗を構える、鶏白湯のパイオニア的な店。
*2『しんやらー麺
“カレー味のラーメン”とはひと味ちがう、スパイスの効いた『バラカツ伽辣麺』をメインに個性豊かな味を提供。餃子も絶品。
*3『天下一品
京都の屋台に始まった全国チェーン店。石神さんは中学生時代に池尻店のスープの虜となり、「天一のスープは私の体液」と語る。
*4『一風堂
北海道から九州まで全国に展開する博多発のチェーン店。2008年のニューヨーク出店は話題となり、海外進出も積極的。
*5『パパパパパイン
パイナップルとラーメンが大好きな店主が、ふたつを掛け合わせて作ったパイナップルラーメン。店内もパイナップル一色。

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