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  • 2015.09.01

【ライヴレポ】aikoのおごりで3万6千人が乾杯!茅ヶ崎の海と花火が彩る最高の夏の思い出!!

aikoが30日に神奈川県・茅ヶ崎のサザンビーチちがさきで、3年ぶりとなるフリーライヴ『Love Like Aloha vol.5』(以下LLA)を開催した。天気は曇り一時雨。最高気温は28度、最低気温は22度。砂浜上に全長50メートルの花道を要する巨大セットが組み立てられた会場には、約3万6千人のファンが集まった。前回、同場所で行われた『LLA vol.4』は3万1千人だったので、5千人も増えたことになる。茅ヶ崎駅からビーチまでの2キロの道のりは小雨模様だったが、だんだんと雨脚が弱まり、17時45分にはステージ上のテントが撤去され、大きな歓声と拍手があがった。スタッフは濡れた花道を拭き、黒幕で隠されていた大きなロゴマークもお披露目された。18時10分に開演し、終盤には再び雨に降られるものの、全13曲を無事に歌いきり、終演後にはステージ上空にはじまり、防波堤を経て、先端の灯台付近から約1500発の花火が打ち上げられた。

客観的な数字をもとにしたまとめはこのくらいにして、改めて、『LLA』というフリーライヴが持つ意義を考えてみたいと思う。aikoのライヴには3つのスタイルがある。1つが、主にアルバムツアーの要素が強い全国ホールツアー『Love Like Pop』シリーズで、現在は『vol.17』まで達している。座席があるホールツアーという特性上、観客とのやりとりもたっぷりと時間を取れる。観客からお題をいくつかもらい、即興で曲を作るコーナーや、観客の参加型でゲーム性のあるメンバー紹介コーナーもある。2つめは、デビュー4年目の2002年からスタートした、ホールツアーよりもキャパシティーの狭いライヴハウスツアー『Love Like Rock』(以下LLR)シリーズで、よりアグレッシブで激しい、ダイナミックなライヴが体感できる。今年の4月から8月の4か月、全25公演に渡って開催された1年ぶりの『LLR vol.7』のZepp TOKYO公演でサプライズ告知されたのが、今回の『LLA』。2003年の8月30日に、第1回目が江ノ島の片瀬海岸で開催された。当初はオフィシャルサイトで直前に告知される野外のフリーゲリラライヴという要素が強かったが、それでも初回から2万人を超える観客が集まっていた。また、不定期開催ではあるが、日にちは8月30日と決まっているのは、夏休みの最後の日である31日は新学期の準備に使って欲しいからという彼女の思いが所以となっている。

『LLA』のいちばんの特徴は、やはり“フリー”ライヴという点だろう。aikoのライヴのチケットはなかなか入手困難で、ファンクラブに入ってないと取れないプラチナチケットになっている。じゃあ、キャパシティーの大きい場所でやればいいじゃないかと考えがちだが、常に「一対一で歌を届けたい」と語る彼女は、ドームツアーの開催などは願っていないだろう。また、彼女は基本的には夏フェスにも積極的には参戦していない。「ライヴに行ってみたいけど、まだ足を運んだことがない」という人のためにと考え出されたのが、興味があれば誰でも参加できる無料の野外ライヴ『LLA』なのではないかと思う。もちろん、この日のMCで「今日はしっかり、この会場にいるみなさんに、感謝の気持ちを込めて、お中元をお届けしたいと思います」と語っていたように、ずっと応援してくれている人への夏のご挨拶という気持ちもあるだろうが、一方では間口を広げるという意味合いもあるだろう。

セットリストを振り返ってみれば、「ボーイフレンド」「キラキラ」「KissHug」「カブトムシ」「花火」「恋のスーパーボール」という、様々な世代が彼女を好きになるきっかけとなったヒット曲を惜しげもなく連発した。さらに、おなじみの「男子!女子!そうでない人!」のコール&レスポンスから、ライヴの盛り上がり曲「beat」「be master of life」、近年の合唱曲「鏡」で彼女のライヴの醍醐味を垣間見せ、シングル「あたしの向こう」と最新シングル「夢見る隙間」という、変化の過程にある近々のシングル曲で“最近のaikoのモード”も見せた。ダイジェスト的ではあるが、誰もが参加できて、しかも私という個人の心に直接歌いかけ、問いかけ、時には話しかけてくれるaikoのライヴのイメージはつかめたのではないかと思う。初めて彼女のライヴを観たという人も多かったようだが、果たして、どんなシーンが印象に残っただろうか。

ベースが4ビートになった瞬間に観客全員の手が上がった1曲目のスイングナンバー「夢見る隙間」だろうか。「みなさん、こんばんは。aikoでーす」と叫びながら手をあげた彼女の手首には、観客と同じオレンジとグリーンのリストバントがつけられていて、「さすがaiko」と感じた人もいたかもしれない。それとも、ヘビーなロックナンバー「Loveletter」で<ではさよなら>と大きく手を振った彼女の姿が脳裏に焼き付いているかもしれない。はたまた、「ボーイフレンド」で人の手の波の中を走るように花道を駆け抜けたシーンか。思わず、ぐずついた空を見上げて、月を探してしまった「オレンジな満月」。後方のお客さんのために設置された門のようなセットの2階で歌った「キラキラ」。ホーン隊と歩幅を合わせるように優しく語りかけた「夢のダンス」。「aikoからのおごりやから(笑)」と配られた「お〜いお茶」での乾杯。陽が完全に落ちた砂浜にレーザー光線が舞い、それぞれがいつかの恋に想いを馳せたバラード「KissHug」。「砂浜の大変さをお互いに分かち合いましょう。ここから砂浜に埋まっていく曲をいっぱい歌います。みんな、茅ヶ崎に埋まれる?」という呼びかけで始まったメドレー。『LLA』恒例となっているサザンオールスターズのカバー「エロティカ・セブン」やボサノヴァにアレンジされた「恋のスーパーボール」。『LLR』を思わせるアップナンバー「どろぼう」や、「Oh Yeah!」の大合唱に最初の花火が舞い上がった「be master of life」。小雨が降り始める中、ドラムのビートのみでみんなで一緒に歌い上げた「鏡」。そして、「しあわせー!!」という絶叫とともに歌ったラストナンバー「シアワセ」……。夢を見る隙間もないくらいあなたのことを考えていると歌う「夢見る隙間」から始まり、隣で夢を見ているあなたを見ていることが幸せで、あなたの夢の中にも出たいと願う「シアワセ」で終わった、約1時間30分の濃密な時間。振り返ってみると夢のようでもあるし、夢の中でも一緒に歌ってしまうのではないかというほど、その一瞬一瞬が忘れられないでいる。

aikoはMCで“思い出”というフレーズを繰り返していた。

「今日はみんなにいろんな思い出を作ってほしいなと思って、いろんな曲を用意してきました」

「みんなの心のアルバムに夏の思い出をしっかりと残していただけるように」

「来月、再来月、来年と、夏の思い出を振り返ったときに、aikoのライヴに行って、途中で雨降ってきて、寒かったけど、aiko、アホなことばっかり言っていたなって覚えていてくれたら嬉しいです。今日のライヴのこと、絶対に覚えていてほしいなと思います」 

その言葉に従い、ライヴが終わり、帰路につきながら何度もライヴの光景を反芻してみた。瞼を閉じたときに蘇ってくるのは、激しい雨の中で歌った「あたしの向こう」だった。雨つぶが光を反射し、キラキラと光っている。雨の中、ライトに照らされたaikoの姿は、見とれてしまうほど綺麗だった。小雨の中で打ち上げられた花火もいつもとは違う煌めきがあり、ひとつひとつの瞬きが、まるで小さな星のように輝いて見えた。もちろん、晴れているほうが良かったのはわかっているが、この日、この場所に集まった3万6千人の観客にとっては、この雨のおかげで、きっと一生忘れられない、2015年の夏の思い出として深く胸に刻まれたのではないかと思う。

写真/岡田貴之 文/永掘アツオ

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