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  • 2015.08.24

『デスノート』の松田刑事もハマり役!変幻自在な名バイプレーヤー・前田公輝が放つ存在感

■長い役者人生で培った“役としての顔”になれるという最強の武器

1月期には『だから荒野』(NHK BSプレミアム)、4月期には『アルジャーノンに花束を』(TBS系)と『ワイルド・ヒーローズ』、そして今期は『デスノート』(共に日本テレビ系)。俳優・前田公輝は今年、途切れることなくさまざまな連続ドラマに出演し続けている。さらに少し遡るだけでも出演作品は数知れず、「この作品でのこの役」と言えば誰もが「あぁ!」とその存在を思い出すだろうし、「で、あの作品にも出ていたよ」と言えば大抵の人が「え、あれにも出ていたんだ!」となるだろう。若干24歳の前田はすでにそういう“名脇役”の位置を確立させている俳優の一人だ。

「僕自身は毎回そんなに変えて役作りをしているつもりはないんですよ。周囲の方がそう言ってくださっているだけだと思います、ホント。……あ、でもそうだ僕、髪型で結構、顔の印象が変わっちゃう人なんです。それは両親に感謝ですね(笑)」

ハツラツとしてよく通る声で語る素の前田はどこまでも爽やか。でも一旦、演技に入ると本人の意志とは関係なしに“役としての顔”になってしまうらしい。

「『ワイルド・ヒーローズ』ではあまり瞬きをしない暗殺者の役を演じたんですけど、実際は“瞬きをしない”という演出はされていなかったし、僕自身もそうしようと思っていたわけでは一切なかったんです。でも監督から「今、瞬きをしないでお芝居をやっていただいているんですけど」って言われたときに“あ、俺そんな芝居しているんだ!?”って初めて気が付いて。じゃあそこからさらに役を広げていくのもアリだなって話になったんですよね。今『デスノート』で演じている松田刑事はとても根が明るいタイプの人だから、楽屋にいるときも気付けば必要以上に騒いでいたりして。オフでも無意識に彼のプライベートのつもりでいるときがあります」

■この世界で生き抜く決意と訪れる試練——“イケパラ”があったからこそ今がある!

芸能界の活動を始めたのは6歳の頃から。バラエティやドラマ、映画、舞台などあらゆる場所のさまざまなポジションに臨んできたからだろうか、前田にはときどき自分が出演するシーンの持つ“役割”が何なのかを考えてタイトルを付ける癖があるという。例えば『デスノート』の物語序盤で松田刑事がキラである月(窪田正孝)にL(山﨑賢人)の情報を話してしまった場面、彼の台本にはそのシーンに「情報漏洩」という文字が書き込まれていたとか。「自分が何を求められているかは常に意識します」と話す前田が本格的にこの世界で生きていこうと決めた、そのきっかけは何だったのか。

「高校1年生の時に初主演した映画『ひぐらしのなく頃に』からかもしれないですね。最初は親の教育の一貫という意味で芸能界に入って、僕自身も“ちょっと有名人になりたい”って気持ちの方が強かったですし。でも『ひぐらし〜』の中で女の子とふたりでただ歩くというシーンがあったんですけど、それを何十テイクやっても全くOKが出ないことがあって。僕はもう頭が真っ白になっちゃったんですよね。何せ当時はまだ監督から「それは前原(役名)じゃなくて前田公輝だ」って言われても“いやいや前田公輝がやっているんだから当たり前じゃん”って思うような人だったので(笑)。でもその件があって初めて“これだけ熱くこだわれるものがあるモノ作りっていいな”と思えたというか。そこからは、もう全く他の職種が目に入らなくなるくらいお芝居が楽しくて好きになりました」

「今もそのおもしろさは続いています!もう終わりがないんですもん」と目を輝かせながら話す彼。その後、なかなか子役時代の演技が抜けきらずに苦しんだ時期もあったそうだが、その分そこから抜け出せた瞬間は「生きていて良かった」と思うくらいの爽快感を味わったとか。どんどん芝居が好きになり、迷いなくこの道で将来を生きていこうと決めた。そうした中で迎えた二十歳の頃、再び前田の頭が真っ白になる作品に出会う。

「『花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス〜2011』(フジテレビ系)。あのときはもうギッタンギッタンでしたね。今でもなんでそこまで滅入ってしまったのかわからないし、“そこまで自分にフォーカスが当たる役でもないのに、なんでそんなにヘコたれているんだ!?”って思います(笑)。演出についていろんなことを考えていくうちにますますわからなくなってきて、本気で辞めようかとも考えました。ここでの共演がきっかけで仲良くなった満島真之介とも「あの時の俺らの精神状態ヤバかったよね」ってよく振り返りますね。当時はお互いの背中をバシッ!と叩き合って気合を入れてから本番に臨んでいましたから」

それを経たことで再度、新人の頃のような気持ちに逆戻りしたという。

「次の作品に挑むのがすごく不安だったんですけど、演じていくうちに徐々に自分を取り戻していったというか。ちょうど同じように自分を取り戻していくような役どころだったので、自分の環境に合っていたんですよ。“イケパラ”でのあの経験があったからこそ、その想いを表現できたんだろうし、そういう意味では僕は本当に作品やスタッフさんに恵まれていると思います」

■『デスノート』での演技が高評価の前田が今後演じてみたい役とは?

「カメラのフォーカスが合っていないときも、自分を見てもらえるような役者になりたいです」と前田。その目標はすでに半分以上、叶えられていると言っても過言ではないように思う。事実、『デスノート』では作品唯一のお笑いシーン担当として大活躍。捜査員メンバーが集合している場面などでは、ついつい前田こと松田刑事がどんな動きをしているのかが気になってしまう。

「松田は一般の方の代弁者のような立場でもあり、生きるか死ぬかのヘビーな物語の中で少しだけ気持ちをリラックスしてもらえるような人物でもあると思います。その立ち位置はこれからもすごく大事にしたいですね」

『デスノート』で、視聴者から“ハマり役”と称される彼が今後演じてみたい役は何なのか?「行き過ぎたお節介な奴。『デスノート』の松田の場合は自分の意志でやっている部分があるんですけど、本当のお節介というのは相手のことを思い過ぎてやりすぎちゃう、という部分があると思うので。だから、その人のためにお節介を焼きすぎて知らず知らずのうちに罪を犯している、っていう役などもいいかもしれません。あと、一回挫折を味わったんだけど、何かをきっかけにそのブランクを取り戻すために奮起するような役や、母親と僕という組み合わせで、互いを思い合ってはいるし、わかり合いたいんだけどすれ違っちゃう……っていう役柄に挑んでみたいです」という答えが返ってきた。すでに具体的な設定まで考えているあたりが何とも“常に求められているものを意識する”彼らしい。

自分の立ち位置を瞬時に見極める能力、それはどんな職業であれ持っているとかなり貴重な武器になる。俳優界の中で髪型とともに(!?)変幻自在に姿を変えながらその武器を大いに振るう前田の今後の活躍にますます期待したい。

文/松木智恵

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