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  • 2014.05.01

【ライヴレポ】RADWIMPS、1万8000人を導いたのは “幸福の溜まり場” 楽しみに込めた真摯な想い

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■“曲への想い”を持ち寄った空間は、熱を帯びた心地良いもの

ライヴも後半、本編にラスト1曲を残した時だった。さいたまスーパーアリーナをぐるりと見渡した野田洋次郎(Vo&G)が、詰めかけた1万8000人のひとりひとりに語りかける丁寧さでこう言葉を紡ぐ。「みんなのものに、ウチらの曲がなってる。うれしい」。

メンバーにとって、スタジオでゼロから大切に育てて形にした曲たち。それらに託したメッセージが音源となり、手に取られ、聴き手ひとりひとりの中で解釈されてそれぞれの人生に沿った形になる。そこには、“作る時に込めた想い”からブレて伝わっている部分は少なからずあるはずだ。RADWIMPSの音楽、中でも昨年12月11日に発表された最新アルバム『×と○と罪と』には、4人の“祈り”や“願い”に近い真摯な想いが強烈に注がれていると思う。その音楽がブレていくことを、“うれしい”と感じられること。それは、少々ブレようが想いの真意は伝わると、聴き手の心を数センチ数ミリでもいい方向に動かすことができると自分たちの音楽を信じられた証、さらには受け手であるRADWIMPSのリスナーが見当違いな誤解はしないという信頼の証、でもあるだろう。

そして、会場にいる全ての人──それはメンバー4人、オーディエンス、スタッフを含め──各々が自身の中で育んだ“曲への想い”を持ち寄ったこの空間は、熱を帯びた心地良いものだった。幸せな人もいる。不満を抱えた人もいる。心配ごと、哀しみ、怒り……それぞれの人の根っこにはいろいろある。それらを飲み込んだ上で超越したこの場所は幸福の溜まり場に感じる。そして、この温度感が私にはRADWIMPSの音楽が発するものそのものだ、と思えた……。4月26日のことである。

■湧き起こってくる体の奥底から音楽に身を委ねたいという想い

『RADWIMPS GRAND PRIX 2014 実況生中継』というタイトルを掲げたこのツアーは、2月5日を皮切りに各地の小さなライヴハウスからホール&アリーナまでを混在させて廻った前半の『会心の一撃編』と、4月5日を境に始まった大きな会場を中心とした『パーフェクトドリーマーズ編』の2部構成。今夜はさいたまスーパーアリーナ2DAYSの初日にして、『パーフェクトドリーマーズ編』の約3分の1あたりになる。

客電が消され、訪れた暗闇の中を、サッと光が走る。四つ打ちのビートが轟く。オールスタンディングのアリーナ席、すり鉢状にせり上がっていく1階席、2階、3階席のオーディエンスが手拍子を重ね、踊り始める。いくつものミラーボールが光を反射させる中、野田の歌声が響き渡った。桑原彰(G)の爪弾くギターの細やかなフレーズが曲を彩っていく。山口智史(Dr)がタムとシンバルワークでサウンドにダイナミクスを与える。体を大きく揺すりながら武田祐介(B)が軽やかにグルーヴを生む。観客が手を振り上げる。体の奥底からこの音楽に身を委ねたいという想いが湧き起こってくるのを感じる。その衝動に従順に従うと訪れるのは極上の快楽だ。すかさず放たれた「埼玉、いくぞ!」という野田のひとことが、さらにディープに観る者を引き込んでいく。

2月からツアーを続けていることもあり、4人の呼吸はピッタリだ。音と歌を通して会話をするように、変幻自在でありながら緊密に連動してウネリを作っていく。そうやって紡ぎ出される音楽世界を照明が押し広げる。それは演出もそう。音響、演出、照明……関わっているスタッフが4人と共に楽曲を奏でているように思えた。

ただただ心地いい音楽の洪水。しかしそれは、上辺の幸せを撫でているわけではない。強靭で攻撃的なサウンドと、言葉を詰めこんだ野田のライミング&歌が絡み合う。曲は「DARMA GRAND PRIX」。身の周りにはびこる被害者面をした者と加害者面をした者、両者の本質をアイロニカルを込めつつ抉る。その言葉は世の中や現実にも結び付いているし、同時に自分個人の内面を言い当てられた気もして、ドキリとする。ただ、それでもそこには“救い”が存在していて、視点を前に向けてくれる。

■1万8000人の笑顔=4人が描いていた景色

音楽的にこのライヴで楽しみにしていたことがある。『×と○と罪と』で掲示したサウンドを4人がライヴでどう再現するか、がそれだ。RADWIMPSというバンドアンサンブルを究極まで固めたその次として、冒険が詰まったこのアルバムの音楽たち。冒険の部分をすべて同期に委ねるのもアリだし、例えばデジタルアプローチのものは生演奏に置き換えるのもアリ。しかし彼らはそんな定石通りにだけ進めるのではなく、それを“プレジャー”に変える。野田の弾くピアノの音色に誘われた「Tummy」。武田がベースを置いてある楽器を演奏する。それはプリミティヴで音階を出すのに偶然性を多分に含んだもので、今この瞬間だけの音楽を紡ぐ。そして「パーフェクトベイビー」。ドラムの役割を打ち込みのリズムトラックに任せた山口がドラムセットを離れ、多彩なマルチプレイヤーぶりを発揮する。

現実を見据えたメッセージと自由さ楽しさ、それらが凝縮されていたのは「実況中継」だった。神様と仏様が絡んだ中継とバトルという体(てい)のユーモアの中に“自殺”“大量の使用済み廃棄物である核”を折り込んだ1曲だ。それを野田、桑原、武田が足下のステップの上でジャンプをし、観客をアジテートしながら楽しみを振りまく。さらに映し出された映像はアニメーションを交えていてユーモラスさを引き立てる。高速リリックの中にはズバズバと指す棘はしっかり存在する、問題意識を喚起させられる、それと同時に心からの笑いも引き連れてくる。それは音楽にしかできない魔法のように私には思えた。

全てを終えた4人が繋いだ手を高々と挙げ、そして深く礼をした。見渡すと、電気が灯った会場には1万8000人の笑顔がある。あの本編後半での「うれしい」と野田が言ったMCを思い起こす。幸福の溜まり場であるこの空間は、4人が描いていた景色にとても近いのだろう。その中にいて、楽しみの中に込められていた現実を抉ったメッセージは、この世の中を良い方向に変えるなんらかのアクションの糧にできる気がしていた。問題意識をもってニュースを見る、Twitterで呟く、友達と話す…それはとても小さいかもしれないけれど、このツアーに参加して(またはこれからする)、心を動かされたひとりひとりの行動が集まれば、僅かでもこの世界は良い方向に向かうんだと思う。そう信じたくなった。

文/大西智之
写真/古渓一道

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